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■有責配偶者からの離婚に関する判例■

有責配偶者からの離婚請求覚書

◆有責配偶者からの離婚請求3要件

  1. 相当期間の別居
  2. 未成熟子の不存在
  3. 苛酷な状況におかれるなど著しく社会正義に反する特段の事情の不存在

◆相当期間の別居についての判例

  • 別居期間が10年に満たないが離婚請求が認容された例 (最高裁 H2.11.8)
    • 同居期間23年、別居期間8年弱
    • 子ども2人成人
    • 昭和33年に結婚、その後商売の方針等を巡って対立し、昭和56年夫が家を出て他の女性と同棲する形で別居。その後、その女性とは別れたものの夫は居所を妻に隠したまま昭和59年離婚の申出。この間、夫は婚姻費用の分担を続けてきたものの、昭和62年に妻が夫名義の不動産に仮処分の執行をし、婚姻費用は一時中断となる。その後、婚姻費用を月額20万円として合意し継続している。夫は夫名義の不動産を売却して代金を折半し、抵当権の債務は夫が負担する旨の提案をしている。
  • 別居期間が10年を超えているが、離婚請求が棄却された例 (最高裁 H2.3.6)
    • 居期間10年、別居期間11年
    • 子ども2人19歳・17歳
    • 夫は調停で決まった婚姻費用を2年間支払っただけで、妻は生活保護を受けている。

◆婚姻費用の支払

  • 有責配偶者からの離婚請求が認容されるためには、信義誠実の原則に反していない特段の事情が必要。
  • 婚姻費用を支払っていない又は定められた婚姻費用を支払っていない場合は論外。
  • 別居時又はその後における財産給付が十分か、あるいは今後の生活保障について具体的な提案があるか。
  • 「誠意があると認められる財産関係の清算を提案している」(最高裁 H2.11.8)


東京家 H19.9.11(判)
渉外離婚 有責配偶者からの離婚請求
オーストラリアの裁判所による離婚判決が民事訴訟法118条の外国判決の承認要件を充足していないとして離婚無効確認請求を認容した事例

オーストラリア人の夫(被告)が、オーストラリアの裁判所で得た離婚判決(本件離婚判決)に基づき日本の戸籍窓口に届出た離婚につき、日本人妻(原告)が離婚無効確認を求めた事案において、本件事案に照らし、オーストラリアの裁判所には国際裁判管轄があるとは認められないから、本件離婚判決は民事訴訟法118条1号に違反し、また、原被告間の婚姻関係が修復される可能性がないとはいえない上、仮に破綻しているとしても、被告は有責配偶者であり、我が国の裁判所において被告からの離婚請求は認められないことなどから、本件離婚判決の内容は同条3号に違反し、いずれにせよ我が国においては効力を有しないとして、原告の請求を認容した事例。

※オーストラリア家族法では、婚姻関係が破綻し、修復不可能な状態にあることが、離婚を申立てる唯一の根拠であると定められている。婚姻関係が破綻し修復不可能な状態にあることの立証義務は離婚の申立人が負い、その要件としては、両当事者が申立日からさかのぼって12ヶ月間継続して別居していることが唯一規定されているのみである。そして、破綻に至る実際上の理由や原因、責任の所在については一切問われず、また、離婚を成立させるために両当事者が承諾する必要もない。



福岡高 H16.8.26(判)
有責配偶者からの離婚請求 9年の別居期間

有責配偶者である夫からの離婚請求事件の控訴審において、夫婦の別居期間が約9年余であるのに対し、同居期間が約21年間に及ぶことや双方の年齢等も考慮すると、別居期間が相当の長期間に及ぶとまで評価することは困難であること、夫とその交際相手との間に子がいないことに加え、その交際の実態に照らすと、夫と交際相手との間の新たな婚姻関係を形成させなければならないような緊急の要請もないこと、他方、妻は、離婚によってたちまち経済的に困窮する事態に追い込まれることが容易に予測されることなどの事実関係の下においては、夫による離婚請求は、信義誠実の原則に照らし、なお容認することはできないとして、離婚請求を棄却した原判決を維持した事例。
(参照条文)民法1条2項、770条



最高裁(一小)H16.11.18(判)
有責配偶者からの離婚請求 2年4ヶ月の別居期間

有責配偶者である夫からの離婚請求において,夫婦の別居期間が事実審の口頭弁論終結時に至るまで約2年4ヶ月であり,双方の年齢や約6年7ヶ月という同居期間との対比において相当の長期間に及んでいるとはいえないこと,夫婦間には7歳の未成熟子が存在すること,妻が,子宮内膜症にり患しているため就職して収入を得ることが困難であり,離婚により精神的・経済的に過酷な状況に置かれることが想定されることなど判示の事情の下では,上記離婚請求は,信義誠実の原則に反するものといわざるを得ず,これを容認することができないとして,夫の離婚請求を容認した減審判決を破棄自判した事例。



最高裁(一小)H2.11.8(判)
有責配偶者からの離婚請求 8年の別居期間

夫が別居後の妻子の生活費を負担し,離婚請求について誠意あると認められる財産関係の清算の提案をしているなどの判示の事情のあるときは,約8年の別居期間であっても,両当事者の年齢及び同居期間との対比において別居期間が相当の長期に及んだと解する余地のあるとされた事例。



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