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東京家 H18.9.11(決)
親権と監護権が分属している場合における民法791条1項及び3項に基づく入籍届けの代理権の帰属
親権と監護権が分属している場合に、監護者は親権の主たる内容である監護及び教育等を中心とする身上監護権を分掌し、子の財産につき管理及び代理する権限ないし身分上の重大な法的効果を伴う身分行為について代理する権限は、親権者に留保され、監護者にはこれらの権限は帰属しないと解するのが相当であるから、民法791条1項及び3項に基づく入籍届けは、法定代理人である親権者が行わなければならない。
広島高 H19.1.22(決)
子の監護者の指定申立て及び子の引渡し申立却下審判に対する即時抗告申立事件
現状維持(?)で父親に監護者指定をした事例
抗告人からの子の監護者の指定申立てを却下した審判に対する即時抗告審において、子の監護に関する処分は、子の福祉に直接関係し、裁判所による後見的関与の必要性が高いこと、監護の基本的な事項についても抗告人と相手方の間で対立していること、抗告人と相手方との間で離婚訴訟が継続中であってもその確定に時間を要することを照らすと、監護者の指定申立てを受けた裁判所としては、監護者の指定をせずに放置するのでなく、適切な監護者を定めるべきであるとして、相手方を監護者として指定した事例。
(参考条文)民法766条、家事審判法9条1項乙類4号、家事審判規則19条2項
最高(二小) H17.12.6(決)
未成年者略取被告事件
母の監護下にある2歳の子を別居中の共同親権者である父が有形力を用いて連れ去った略取行為につき違法性が阻却されないとされた事例
母の監護下にある2歳の子を有形力を用いて連れ去った略取行為は、別居中の共同親権者である父が行ったとしても、監護養育上それが現に必要とされるような特段の事情が認められず、行為態様が粗暴で強引なものであるなど判示の事情の下では、違法性が阻却されるものではない。
(参照条文)刑法35条、224条、民法818条、820条
本決定には、別居中の夫婦(幼児の父母)の間における監護権を巡る紛争は、本来、家庭裁判所の専属的守備範囲に属し、家事審判の制度、家庭裁判所の人的・物的な機構・設備は、このような問題の調査・審判のためにこそ存在するとの見解から、子の監護をめぐる紛争は子の福祉を最優先し、専ら家庭裁判所の手続きでの解決にゆだねるべきであり、その領域に刑事手続きが踏み込むことは謙抑的でなければならないとして、被告人の行為態様等に照らし、その行為は社会的相当性の範囲内にあり、その違法性が阻却されると解すべきものであるとする滝井裁判官の反対意見と、家庭裁判所の役割について同じ見解に立った上で、被告人の行為は家庭裁判所の役割を無視し、家庭裁判所による解決を困難にするものであり、また、子の福祉の観点からみても、子の身体や精神に与える悪影響を軽視できず、特段の事情のない限り、違法性を阻却しないという今井裁判官の補足意見がある。
仙台高秋田支 H17.6.2(決)
子の引渡し申立却下審判に対する即時抗告事件
別居中の夫婦のうち一方配偶者である抗告人(母)が公然かつ平穏に子ら(6歳、5歳、3歳)をその監護下に置き、監護を継続していたにもかかわらず、他方配偶者である相手方(父)が子らを無断で連れ去り、違法に子らをその監護下に置いたため、抗告人が子らの引渡しを求めた事案の即時抗告審において、子らの福祉の観点から、相手方に引き続き子らを監護させる場合に得られる利益と抗告人に子らを監護させる場合に得られる利益を比較し、前者が後者をある程度有意に上回ることが積極的に認められない限り抗告人による引渡し請求を容認すべきであるとした上、本件では、前者の利益と後者の利益との間に有意な差異は認められないから、子らの引渡請求を容認すべきであるとして、申立てを却下した原審判を取り消し、認容した事例。
(参照条文)民法766条、家事審判法9条1項乙類4号
札幌高 H17.6.3(決)
子の監護者の指定申立及び即時抗告事件
子の監護者の指定申立及び子の引渡し申立事件の即時抗告審において、抗告人(父)は、子の安定した状態、抗告人の実母の協力による監護態勢、抗告人の資力等、子の福祉という観点から、監護者は抗告人が適当であると主張するが、相手方(母)の監護権を侵害した違法状態を継続している抗告人が現在の安定した状態を主張することは到底許されるものではなく、子が2歳の女児であり、本来母親の監護が望ましい年齢であることに加え、相手方が育児をすることについて不適格な事情が認められない本件では、子の監護者として相手方が相当であることは明白であるとして、子の監護者を相手方と指定し、抗告人に対して子の引渡しを命じた原審判に対する即時抗告を棄却した事例。
(参照条文)民法766条、家事審判法9条1項乙類4号
大阪高 H17.6.22(決)
子の監護者の指定申立及び即時抗告事件
子の監護者の指定申立及び子の引渡し申立事件の即時抗告審において、子(4歳)の監護者を相手方(母)と指定し、相手方に無断で子を連れ去った抗告人(父)に対し、子を相手方に引き渡すよう命じた原審判の判断は適正なものであるとして、即時抗告を棄却した事例。
(参照条文)民法766条、家事審判法9条1項乙類4号
東京高 H17.6.28(決)
子の監護者の指定申立却下審判及び即時抗告事件
別居中の父母からそれぞれ申し立てられた子の監護者指定申立事件の即時抗告審において、子は7歳とまだ幼少の年齢であり、出生以来主に母である抗告人によって監護されてきたものであって、その監護養育状況に特に問題があったことをうかがわせる証拠はないところ、調停委員等からの事前の警告に反して周到な計画の下に行われた相手方及びその両親による子の奪取は、極めて違法性の高い行為であるといわざるを得ず、子の監護者を相手方に指定することは、そのような違法行為をあたかも追認することになるのであるから、そのようなことが許される場合は、特にそれをしなければ子の福祉が害されることが明らかといえるような特段の状況が認められる場合に限られるとした上、本件においては、このような特段の事情を認めるに足りる証拠はないと。
(参照条文)民法766条、家事審判法9条1項乙類4号